岸田一少年の事件簿 “最高の腹話術師”
―古来より腹話術は、“呪術”として用いられ、
腹話術師は人々から畏怖される存在であった。
今から100年前、腹話術の伝統を継承する「腹話村」に“最高の腹話術師”と呼ばれる一人の男がいた。
あらゆる天変地異を予期することで村人を助け、疫病を未然に防ぐなど、人々から崇められていた。
だが、次第にその呪術に恐れをいただいた村人からその村を追いやられ、
ついには天変地異を引き起こした重犯罪者として捕えられ、失意の中、獄中死を遂げる。
その男の死後、村にはありとあらゆる疫病が発生し、村人に無残な死が訪れるなど、その男の“呪い”が降りかかるようになった。
死にゆく者たちは皆、この男が伝承してきた、ある“腹話術の教え”を耳にしたという―
[マズクチヲオオキクアケズ]
[ツギニニンギョウノハラヲツカミ]
[サイゴニテアシヲウゴカスガヨシ]
そして、今、村人もなく廃墟と化した「腹話村」の謎に迫るべく、岸田一少年の所属するミステリーサークル一行が、その村を訪れる・・・